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  <コロナ禍後の店舗賃料について>

  令和2年5月末日時点
   
  継続賃料に詳しい不動産鑑定士A 先生に聞く
(・・・聞き手はオーシャン・ワイド中村です)
   
   
 
先行き不透明な経済情勢
   
  (中村) 現時点で今後の経済情勢をどう見ておられますか?

(先生) 新型コロナウィルス拡散防止のための自粛措置等によって、多くの経済活動が
停止され、 飲食、ホテル、物販など様々な業界において3月以降は大幅な売上の減少
となり、家計、雇用など多方面に影響を及ぼし日本経済は大きな打撃を被っている状況
にあります。また今後第2波、第3波の発生の可能性もあり、延期になった東京オリンピック
の来年開催の可否も含め、先行きは不透明と言わざるを得ない状況にあります。
   
 
気になる今後の賃料動向
   
 

(中村) コロナ禍発生以降、当社にも毎日数件の今後の賃料交渉についての質問が
寄せられています。

(先生) 5月の下旬には、全国的に「緊急事態宣言」は解除されましたが、段階的に自粛
措置の緩和が行われている現在、賃貸不動産の当事者(オーナー、テナント)である皆様
にとって大変気になるのは、今後の賃料動向かと思います。

現在は、国から家賃交渉に応じた場合の減税措置が発表され、オーナーに対して減免
措置に応じるように推奨されていることもあり、当面の売上・収入が減少し、賃料の支払い
に窮しているテナントからオーナーに対して、賃料の減免措置等(継続的な賃料の減額
とは異なる一時的な減額や支払猶予)の交渉がさかんに行われている状況にあります。
一方でこの間は、新規の不動産売買や賃貸借契約などは「自粛」のために取引そのものが
行えなかったことに加え、いわゆる「様子見」の状況にあり、必要に迫られた一部の当事
者間におけるレアな取引(売り急ぎや貸し急ぎといった事情を含むものと推察されます)
はあったとしても、いわゆる「相場」を形成し得るほどの数の取引は行われていないため、
仮に「賃料減額交渉」をしようにも客観的な証拠・データとしての成約事例や相場を示す
ことが困難な状況にあると言えます。(一時的な賃料の減額や支払猶予は、「継続的な
支払い義務のある賃料」とは性格が異なるため、「賃料減額交渉」のための直接的な説得
材料にはなり得ないと考えられます。)

   
 
賃料減額交渉の進め方
   
  (中村) それでは今後の賃料交渉はどのように考えたらよろしいでしょうか?

(先生) 従いまして、具体的な「賃料減額交渉」はもう少し先、すなわち「新規成約事例」が
ある程度入手されるようになり、地価や新規賃料の客観的な変遷データが公表されるよう
になって(数か月程度先でしょうか・・・)、分析可能になってからということになろうかとは
思いますが、ここでは現時点で予測される「今後の賃料」について主に「店舗家賃」を中心に
私見を述べさせていただきます。

(中村) まず地価についてですね?
(先生) そうですね。
   
 
1. 地価について
   
 

「店舗家賃」について検討する前提として、まずは「今後の地価の動向」について考えて
みます。今回の新型コロナウィルスの影響によって、メディア等では「世界恐慌以来の不況が
到来する」とか、「バブル崩壊程ではないがリーマンショック並みの影響が予測される」など
の様々な見解が述べられており、また不動産投資家の意識調査の結果として、約9割が今後
2020年末までの不動産価格が「下がる」と見込んでいるとの記事も見られました(5月25日付
日本経済新聞)。おそらく当面の地価が「下がる」ことには間違いないものとは思われますが、
問題はどういった地域で、どの程度下がるかということだろうと思います。

正直な話、これを正確に予測できるのは「神様」だけであり、そもそもが不可能な話ではある
のですが、あくまで「私見」として予測するのであれば、ざっくりと「リーマンショック後未満の
限定的な下落」と考えております。
今回のコロナ禍にある現在は、バブル崩壊時やリーマンショック時と比較すると、低金利で
あり金融引き締めの状況にない等、金融情勢が全く異なるといった点が指摘されております。
したがって企業や家計の収入減や経営破たんなどに伴う需要減や賃料減による地価下落は
ある程度あったとしても、「リーマンショック後」程の地価下落にはならないのではないかと予測
されます。もちろんコロナ問題が今後長期化するようなことがあったり、信用不安による金融
逼迫が生じたときには不動産価格にもより大きな影響が生じる可能性があることは言うまでも
ありません。

(中村) もっと詳しくお話をお聞かせ下さい。

(先生) もっとも「下落」するのは、リーマンショック後の地価が下落した後に、上昇の契機
となった第2次安倍政権発足以降から最近までの間(すなわち概ね2013年以降)に、地価が
上昇していた地域であると思われます。地方圏や、都市部近郊であっても二極化が進んだ
結果等により、この間地価が横這いであった地域や、あるいはいまだに下落している地域に
ついては、今回のコロナ禍の影響は極めて小さいかあるいはほとんどないものと考えてい
ます。リーマンショックの時も、それ以前に地価上昇していなかった地域は、基本的にリーマ
ンショックが地価に直接影響を及ぼしてはいなかったと記憶しています。

その逆に、東京都心をはじめとする一部の特殊な地域、すなわち昨今「地価公示等」の公的
評価額よりも高額で取引されてきたような商業地域(東京都心では「地価公示等」の凡そ1.5倍
から2倍超で取引されている事案も多く見られましたが、これは将来の地価・賃料の値上がり
を過度に見込んだ「過熱した取引」であると一部の専門家には見られているような地域)などは
瞬間的には大幅な下落を既にしていると思われます。

(中村) 具体的なデータとかおありであればお願いします。

(先生) この点、株式会社三井住友トラスト研究所が本年5月12日に公表した「Daily PPI」と
いう不動産価格変動をタイムリーに示すことを目的に公表された新たな指標
(https://www.smtri.jp/report_column/report/2020_05_12_4834.html)によると、
J-REITを利用した短期な不動産価格(ただし建物価格も含む点に留意)の変動について、
2020年初から3月末までの3か月間における「騰落率(年初来の最高値と最低値の比較)」で、
オフィスビル(東京主要 5区)▲35.7%、住宅(東京主要5区)▲29.4%、ホテル(東京23区)
▲42.7%、都市型商業施設 (東京23 区)▲35.6%、物流施設(1 都3 県)▲29.0%と大幅な
下落を示しています。(ここで注意が必要なのは、これは単純な当該期間の変動率ではない点、
また一般に地価変動を示す指標としての「公示価格・基準地価格」に比べて、J-REIT で扱われる
不動産(建物含む)の取引は、基本的には先述した「過熱した取引」と考えられるので、今後
「公示価格等」が▲30%とか▲40%になるということではなく、むしろ第2波などコロナ禍が
長期化しなかった場合は、今後の「公示価格等」は比較的小さな下落を示すにとどまる可能性
も高いものと考えられる点です。すなわちこの現象(当該データによる大幅な下落)は、あくまで
「過熱した取引」による買い進みの取引価格が、今回のコロナ禍による投資対象としての不透
明性等の要因によって、適正理論値である「公示価格等」の水準に近付いてきた現象と考えら
れるということです。したがって、当該指標は大変興味深い指標ではありますが、残念ながら
あくまでJ-REIT に扱われるような特殊な不動産(建物含む)のみの話なので、不動産一般、
地価一般ではない点にも留意が必要です。)

(中村) 地価について、まとめて下さい。

(先生) 以上より、私見ではありますが当面の地価がどのようになりそうかを伺う具体的な
方法としては、@近隣の「公示価格等」の価格についてリーマンショック「前」から直近までの
価格推移を調べて、Aリーマンショック「後」の地価への影響を判断し、B今回のコロナ禍は
その影響「未満程度」 の影響ではないかと予測できるのではと考えます。
もちろん、さらにその後2年後、3年後などの地価については、今回のコロナ禍がこのまま順調に
収束方向に向かった場合には意外に早く「コロナ前」に比較的近い状況、すなわち「地価上昇」に
転じる可能性も否定しきれない点にも十分留意を要するでしょう。

(中村) 次に、肝心の賃料についてお願いします。
(先生) 分かりました。

   
 
2. 賃料について
   
  ここでは基本的に「店舗家賃」の「減額交渉」を念頭に置いて述べたいと思います。

店舗については、飲食業界、ホテル等の観光業界、あるいはイベント場等の娯楽業界など
については今回のコロナ禍の強い影響を受け、売上減少にとどまらず、多くの事業者が撤退、
廃業という事態にまで既に及んでいます。既存のテナントについては、当面は一時的な賃料
減額や支払猶予によってやりくりをしている状況かと思いますが、今後とりあえずの落ち着きを
見せた後は、本格的な「家賃交渉(賃料減額交渉)」へと向かうことになるでしょう。

(中村) 交渉の目安や交渉材料などについては?

(先生) 先述のとおり、現時点では交渉の目安・説得材料・根拠となる「新規賃貸事例」が
質・量ともに不足するため、具体的に交渉可能となるためには、「相場」が判明する「新規賃貸
事例」がある程度入手できるようになる必要があろうかと思います。地価の変動指標の公表など
も含めて、数か月程度、例えば秋を迎えたあたりにどうなっているか・・・という状況なのかと
思います。(それまでの間は賃料の減免措置、すなわち一時的な減額や支払猶予、あるいは
公的支援等によって「しのぐ」ということになるのかと思います。)

(中村) 「店舗新規賃料(相場)」はその頃にはどのようになっていると考えられるでしょうか。

(先生) まずは今回のコロナ禍によって退去したテナントが一定数発生した結果、「空室率」
は相応に上昇し、さらに冬に向かって将来の第2波、第3波等の可能性を考えれば新たな
入居者は現れにくい状況が続くため、「新規募集家賃」は当面下げざるを得なくなろうかと考え
られます。 「値下がり」の幅は、地域や個別の要因等によって様々でしょうが、今回のコロナ禍で
特に影響を受けた業種の用途の物件についてはある程度大幅な下落も予想されます。もっとも
これも前記の「地価」と同じで、やはり昨今の好景気を反映して賃料が上昇していたものが強く
値下がりの影響が出るものと予測されます。

(中村) 賃貸人即ちオーナーの対応については、どう考えたら良いでしょうか?

(先生) オーナーとしては「空き店舗」のまま放置することは当然に避けたいので、一時的には
「借り手有利」な水準にまで下落することも予想されます。したがって、既存のテナントに対して
は退去されないために相応の値下げに応じる可能性も高くなると考えられます。(ここで気を
付けなくてはいけないのが、「相場」を形成しにくい「オーダーメイド物件・特殊用途の物件」です。
一般的な店舗と違って、オーナーとの共同事業的な色彩のある店舗で、特に賃貸当初にテナント
から申し出てオーナーに建築させたような不動産の場合は、単に景気や周辺賃料相場が値下が
りしているからといって単純に値下げをすることは困難で、オーナーの建築費用の返済状況など
も総合的に鑑みて家賃交渉をしなくてはならない点があります。)
   
 
その他のこととして
   
 

(中村) その他に考えられることとして何かございますか?


(先生) またインバウンド需要に強く影響を受ける業種などは、日本国内におけるコロナ収束だけ
でなく海外のコロナ収束の動向も関係するため、来年のオリンピック開催の可否も含めて今後の
賃料動向に強く影響を与えそうです。
いずれにしても、「賃料減額交渉」を行うためには現行の賃料が周辺相場に比べて「高い」ことを
客観的資料、データ等で示すことができないと交渉は上手くいきませんので、これらの資料・デー
タが入手できるようになるまでは、しばらく待たざるを得ないものと考えます。


(中村) 交渉に役立つ客観的な資料やデータの入手方法を教えて下さい。

(先生) 店舗賃料に関する客観データは多くなく、しかも今般のコロナ禍の影響を反映し得る月次
データによるものとなると限られるのですが、参考までに以下の情報を紹介します。

銀座に拠点を置く不動産会社「株式会社スペーストラスト」のホームページ
https://www.spacetrust.co.jp/)の「賃貸相場情報」において東京都心部の最近の成約賃料デ
ータが時系列で公表されております。
当該データの「成約条件推移(エリア別)」によれば、直近調査期間が2020年2月〜4月となって
おり、3か月タームで集計された推移グラフが紹介されているのですが、「店舗賃料」の直近推移
は「銀座地区」で概ね▲1割程度、「渋谷地区」も概ね▲1割程度の下落を示し、「赤坂地区」
でも微減傾向を示していますが、「新宿地区」は上昇傾向を示しており、必ずしも明確に下落を
示す結果にはなっていません。
また首都圏の賃料相場情報サイトである「店舗相場TOWN 」というネットの情報
https://souba.builds.jp/tenant/13)によれば、「東京都の平均坪単価の月額推移」グラフでは、
2020年1月以降4月まで1階、基準階共にほぼ横這い(むしろ若干の微増)と示されており、
コロナ禍の影響は実質的に反映されていないものと推察されます。
(ただしこれらデータは標準的な条件に補正したものではなく、成約賃料や募集賃料の単純平均
値によるものなので、データの基礎となる個々の事例の条件や物件等の内容にはばらつきや偏り
などがあると思われるため、この点に留意が必要です)。

このように現時点の店舗賃料に関する情報は、コロナ禍の影響を未だ十分に反映しきれていない
ものと思われます。先述のとおり現在新規の出店希望者は「様子見」の状況であると判定される
ので、客観データに表れてこないのは当然のことと言えます。

   
 
交渉当事者としての留意点など
   
  (中村) 最後に、今後の賃料交渉のあり方についてコメントを頂けると幸いです。

(先生) 以上従いまして、客観的な情報が相応に入手可能となるのはもう少し先になるものと思わ
れることに加え、そうしたデータだけでなく取引市場での実際の成約動向などを把握するには、そ
うした調査や判断に関して知識や経験を要するものと考えられます。
今後の店舗賃料については、全ての不動産に対して当然に一律ではなく、地域性、物件条件、業
種、用途、さらに継続賃料については契約当初から現在の賃貸借条件などの様々な諸要因が複
雑に関連し合った上で、今般の「コロナ禍」の影響が反映されるものと考えられます。例えば同じ
店舗であっても、自粛営業が不要であり、いわゆる「巣ごもり需要」に対応した業種に関する店舗
などは「値下げ」どころか「値上げ」の可能性すら否定できないとも考えられます。
したがってその判断には非常に専門性が必要になるものと考えられますので、ご検討の際には是
非専門家へのご相談をお勧めいたします。

(中村) 本日はお忙しい中、時間を割いて長時間、有益なお話をお聞かせ頂き有難うございました。
今後ともご指導賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
  以上
   
 







   
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